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オランダ芸術科学保存協会(NICAS)との共同研究のためのオランダ出張

2016.8.5

本年2月のオランダ芸術科学保存協会 (NICAS;Netherlands Institute for Conservation Art and Science)と東京藝術大学の協定締結を踏まえ、複製制作に関する共同研究を推進することを目的に2016年6月28日~ 7月5日にかけて、東京藝術大学社会連携センター(COI担当)の教員6名がオランダを訪問しました。

東京藝術大学COI拠点はNICASと連携し、最先端技術と伝統技法を活用して2つの絵画作品(ブリューゲル作「バベルの塔」、ゴッホ作「青い花瓶に入った花」)の複製制作プロジェクトに取り組んでいます。

今回、デルフト工科大学のヨリス・ディック博士が、「バベルの塔」の蛍光X線スキャン分析を行ったタイミングでボイマンス美術館を訪問し、その結果について説明を受けるとともに、関係者と詳細の打ち合わせを行いました。その後、精緻な複製を制作するための作品(側面や縁など)の写真撮影、複製の試作品と現物の色合わせ作業などを実施しました。今後、「バベルの塔」についてはサイズを拡大し、絵具の質感まで再現した複製画を制作し、来春日本で開催される「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展(朝日新聞社主催)」で展示する予定です。
(詳細HP: http://www.asahi.com/articles/DA3S12434045.html

report078-01複製の試作品をみながら関係者と打ち合わせ

report078-02作品の側面を写真撮影

※Pieter Bruegel (I)
Brueghel c. 1526/1530 – Brussels 1569
The Tower of Babel, c. 1568
Oil on panel

翌日に一行はデルフト工科大学を訪問し、先方の開発している3D計測技術ならびに3D印刷技術についての調査と意見交換を行いました。その後、先方の3D計測や組成分析データを用いて東京藝術大学COI拠点が制作した「青い花瓶に入った花」の複製の試作品を紹介したところ、その質感や色合いについて非常にポジティブなフィードバックを得ることが出来ました。その後、共同研究について手順やスケジュールなど、詳細の打ち合わせを行い、引き続きオランダの各文化施設が所有する絵画作品の複製制作について、複数の共同研究プロジェクトと並行して実施していくことを確認しました。

report078-03東京藝術大学COI拠点が制作した複製の試作品をみるディック博士

その他、アムステルダム国立美術館修復工房(NICAS本部)の見学・交流、オランダで販売されている画材の調査・購入、今後NICASと共に新たな複製制作に取り組む予定の作品の下見なども実施し、非常に実りの多い出張となりました。

今後、前述の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」をはじめ、東京藝術大学とNICASの連携で制作した革新的な複製作品がみられる機会が増えていくことが期待されます。