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Shared Campus 体験記Shared Campus Reports

Summer Schools 2022 体験記 / Reports

2022年6月から8月にかけて、Shared Campus加盟校の世界各国の所在地を中心に、Shared Campus Summer Schools 2022が開催されました。

2022年度(令和4年度)からフルパートナーとして加盟した本学からも、主に美術専攻の学生がプログラムに参加しました。
参加形式は海外渡航を伴う実地開催、オンライン開催、そして実地開催とオンライン開催を合わせたハイブリッド形式と様々でした。

以下、国や言語、文化的背景を超えて異なるテーマのワークショップに奮闘した学生のみなさんの学びの体験記を紹介します。

Summer Schools 2022 プログラム

以下の7プログラムが開催された。[ ]内はプログラム実施形式。

  1. Food for the Future – Cooking, Eating and Crafting Hospitality
    [完全オンライン実施プログラム]
  2. Commoning Curatorial and Artistic Education
    [オンライン参加またはドイツKassel現地参加]
  3. Remote Guide to Extractivism
    [オーストラリアMelbourne 台湾TaipeiギリシアAthens いずれかの都市で実地参加]
  4. History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
    [タイBangkokでの実地参加]
  5.  Rivers. Jugular Veins of Empire
    [オンラインとLondonでの実地参加ハイブリッド形式プログラム]
  6.  Hacking Global Pop Icons
    [スイスZurich実地参加]
  7. Teleprovisation: Interdisciplinary Telematic Improvisation
    [スイスZurich シンガポールSingapore ノルウェーTrondheim いずれかの都市で実地参加]

  1. https://backend.shared-campus.com/site/assets/files/6244/sc-summer-school-2022-ok-1.pdf

体験記/Reports

参加プログラム  Food for the Future – Cooking, Eating and Crafting Hospitality
参加日程 2022.6.27 – 7.15
参加形式 完全オンライン
氏名 水野 渚
所属 大学院美術研究科グローバルプラクティス専攻 修士2年

 

運営側によって分けられた3-4名のメンバーで構成されるグループワークがメインだった。テーマに関するインプットのための講義が1週間に2コマほどあり、全体のうち数回は外部ゲスト(foodに関する実践やリサーチを行なっているアーティストやデザイナー、建築家、教授)によるトークが含まれていた。トーク内容は、foodとジェンダーや記憶、コミュニティなどで、foodに関して様々な方面から話を聞くことができた。また、3Dモデリングソフトウェアの使い方に関するワークショップもあった。

foodという共通のテーマはあるものの、3週間という短期間の中で、全く初対面の人とオンラインで作業し、アウトプットを出さなければいけなかったことは、非常にチャレンジングであった。まず、チームメンバーの暮らす国が異なり時差があるため、スケジュールを合わせるのが大変だった。また、最初はお互いのことを知らない中、どのようにコンセプトや方向性を定めプロジェクトを始めたらいいのか全く分からなく途方に暮れていた。しかし、1週間に1度ほどある講師の方々とのメンタリングのセッションが、アイデアを試してみたり、深めてみたりするきっかけになった。また、幸いなことに、私のグループはきちんとコミュニケーションがとれ、モチベーションのあるメンバーばかりだったので、その点非常にやりやすかった。 逆に、foodに対して様々なメディアや切り口から表現活動を行なっている世界中のアーティストやデザイナー、リサーチャーと知り合い、協働してプロジェクトを起こしアウトプットできたことは、貴重な体験となった。その中で、自分の強みは何か、グループの中でどのような役割を果たせるのかを考えるきっかけにもなったし、foodというテーマで深く学びたいという気持ちが強くなった。

どのグループの最終プレゼンテーションも、非常にレベルの高いものばかりであった。ウェブサイトやアニメーションを作るグループ、コンセプトを魅力的にビジュアルにまとめるグループ、参加型のプロジェクトを作るグループなど、アウトプットの仕方も様々で、とても良い刺激になった。3週間はあっという間だったので、今回学んだり、感じたりしたことを、今後も深めていきたい。


体験記/Reports

参加プログラム Commoning Curatorial and Artistic Education
参加日程 2022.6.27 – 7.15
参加形式 オーストラリアよりオンライン参加
氏名 諏訪部 佐代子
所属 大学院美術研究科グローバルプラクティス専攻 修士2年

 

私個人としては、英語でのワークショップを初対面の方に対してホストすることが初めてだったためとにかく自信がなく、準備に時間をかけました。お忙しい中GAPの助手さんに我々のワークショップのプレゼンを見ていただき、具体的なアドバイスをいただいたことが非常に力になりました。友人にも事前にプレビューに参加してもらい、自分達のやりたいことを、決して狭めたり縛ったりしない形で、明確化したことによってワークショップの運びが円滑化したように思います。

当日は最初に自分たちの作品、実践を紹介し、なぜ我々がこのコンセプトに至ったかをプレゼンした後、実際にPadletを用いて交換のワークショップへ移行しました。
一番最初のワークショップでは、メルボルンで作成した私諏訪部の石彫作品を実際に交換の場に出し、みんなの意見を聞く機会がとても面白く受け止められました。実際に自分がこの作品にかかった費用などは伏せた上で、さまざまなイメージをみんなに投稿してもらい、わらしべ長者のような形で最終的にどういったものがアートの対価になりうるのかと考えていました。コーヒーや作品のようなものから、物質的なものを超えた現象やパフォーマンスなども交換の場に出され、非常に面白い場となりました。

二番目のワークショップでは、このプロジェクトのテーマである「Commoning」というワードから連想するものを参加者の皆さんにPadlet上に投稿してもらいました。我々のタイミングがちょうど中日ということもあり、このプロジェクト全体を通して語られるこのワードを皆が俯瞰して語ることのできた良い機会でした。

三番目のワークショップでは、特に議論が盛り上がりました。このワークショップは、我々が持つなんてことないスキルを三つまで交換の場所に出し、価値を他者に見つけてもらうというものです。明らかに価値があるものでなくても構わない、という前提の元、我々二人が事前に書いていた「アーカイブ写真を撮る」「インスタレーションをメルボルンで行う」などというところから始まり、「日本酒のペアリングをします」「美容のアドバイスをします」「広東語であなたの名前を発音します」などなど…、多くの目に見えないスキルがPadlet上の交換の場に出されました。我々は時に談笑しながら、これらの価値を実際に交換することを提案しました。

もはや言語的なものを超えたコミュニケーションが生まれたらベストだよね、と期待していましたが、その期待を裏切らず多くの視覚的なコミュニケーションも生まれた場所となりました。多くの哲学的問いが生まれた場でもありました。私が引用したAIに将来置き換わるであろうスキルたちのランキングはある意味でかなり残酷な情報ですが、それを踏まえた上で、ポジティブで活発なワークショップが生まれたのは皆さんのクリエイティビティによるものだなあと感じさせられました。
将来アーティストとして自立すること、とは簡単に言いますが、そのプロセスは千差万別でそれぞれが今まで誰も通ったことのないような草むらや崖、サバンナの中からサステナブルな道を見つけていかなければなりません。そんな、一歩先は座礁とも言われぬストレスフルな状況を、なんとかサバイブする仲間たちを見つける良い機会になったように思います。

体験記/Reports

参加プログラム History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
参加日程 2022.7.18 – 7.31
参加形式 タイBangkokでの実地参加
氏名 石塚 麻歩
所属 美術学部絵画科油画専攻3年

 

2週間、過去にバンコクで行われた展覧会を振り返り、また現在の街の姿やバンコクの歴史についてレクチャーを受け、最後の2日間、シラパコーン大学構内で展示をしました。

寺院や美術館、かつて展示が行われたギャラリーなどを訪れ、現地のアーティストのアトリエなども訪問しました。自由な時間も多かったので、その他の寺院や市場など、気になる場所に足を運ぶことができて、とても楽しかったです。
1999年にバンコクで開催されたCities on the moveという展覧会が、当時の社会に、また二十年以上の時を超えて現在にどのような影響を与えているのか。人や街は変遷し続け、展覧会もまた一過性のものではない、ということがテーマだったように思います。

はじめは言語の違いでどぎまぎしていましたが、現地で出会った友人たちに助けてもらいながら、ある程度意思の疎通ができるくらいには英語に慣れることができました。しかし、自分が作品で表現したいことや考えていることを詳しく伝えられないことがとてももどかしかったです。

学生の年齢層は幅広く、分野もインスタレーションや映像、建築、パフォーマンスなどさまざまでした。
作品のことだけでなく、国のことや文化のこと、他国の友達といろんな話ができて楽しかったです。同じテーマで制作しても、国が違うと観点ががらりと変わって、世界はひろいんだなあと痛感しました。

また、初めて海外に行ったということもあり、タイで触れた文化や生活は何もかも新しいものでした。当たり前のことのようですが、目の当たりにして初めて世界は日本だけではないのだと痛感しました。多様性というものを肌で感じられたことが、一番の収穫だったと思います。

体験記/Reports

参加プログラム History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
参加日程 2022.7.18 – 7.31
参加形式 タイBangkokでの実地参加
氏名 Riedl Johanna
所属 大学院グローバルプラクティス専攻 修士1年

 

This year the 4th edition of the History Reviewed summer school series came to Bangkok with a keynote symposium on the 1999 seminal exhibition Cities on the Move to explore artistic practices concerning the city, history and memory. Participants from all Shared Campus partners are concluding these two weeks of learning and research with their artistic responses in an Open Studio event.

Two weeks of intense research, sightseeing, traveling to the past and possible futures, meeting lot of interesting artists and sharing food, love and fears ended up in a wonderful group exhibition.

I took only good memories and experiences with me from the summer school program and I am really glad to have experienced such a wonderful insight to the culture of Thailand through that program.

The only bad thing to point out is that Geidai does not provide any financial support to its students. All other universities attending the summer school program payed the flight and accommodation for their students. I found it hard to understand
the inequality in that circumstance, especially since we pay a huge amount of study fees already.

体験記/Reports

参加プログラム Rivers. Jugular Veins of Empire
参加日程 2022.8.8 – 8.26
参加形式 参加形式 Onlineと実地開催併用 第1週:Online 第2~3週:London
氏名 内田 万遊
所属 美術学部先端芸術表現科4年

 

テムズ川周辺のフィールドワークとディスカッションを通じて、「脱植民地化」と「ケア」という視点から都市・社会の未来について考えつつ、社会と関わる芸術が市民の意識をどう喚起できるかを探るコース

【具体的な内容】
1週目(8/8~12):オンライン
・「脱植民地化」「ケア」とは何か、講師陣からのレクチャー
・レクチャーを通して個々人が考えた「ケア」の事例等をシェアしあったり、シンプルな単語で再定義するワークショップ

2週目(8/15~19):対面 or オンライン
・ロンドン市内の様々な場所でのフィールドワーク(美術館、博物館、記念碑等)
・最終課題に向けてのディスカッション等、活動

3週目(8/22~26):対面 or オンライン
・最終課題に向けてのディスカッション等、活動
・作品制作
・プレゼンテーション

【参加して得られたこと、苦労したこと等】
得たこととしては、やはりホームグラウンドを出て海外での実験的な制作経験ができたこと。最終課題の作品ではサウンド媒体に挑戦し、自分自身の制作の幅を広げることができた。ショートプログラムならではの制作体験だった。

そして私自身、藝大内で多国籍の学生と出会う機会がなかなか持てなかったこともあり、今回のプログラム参加を通じて、芸術に関わる立場としての世界の課題解決に対するアプローチ方法を共に探る国際的なネットワークが持てたことはとても大きかった。海外芸術大学等への進学を希望する場合にも、このようなショートプログラムでその雰囲気を味わうことは大きな情報源となるはずだ。

個人的には、交換留学先の北京に渡航できず、香港に滞在しながら北京のオンライン授業を受けていたため現地で同世代の芸術分野の学生と知り合う機会がほとんどなかった。そのため、今回のコースで香港出身、もしくは現在香港で学修中の本土出身者が参加者の大半を占めていたことは予想外の大きな収穫であった。

また、私はアジア、特に香港と中国の関係に強い関心を示していたこともあり、今回のテーマと開催地に強く惹かれて応募した。「脱植民地化」「ケア」という言葉こそ新鮮であったが、誰しもが持ちうる視点であり、多角的な気づきを得る機会になった。

最初の1週間はオンラインでの開講で、対面でのディスカッションよりも議論が難しく感じられた。ヨーロッパ圏の学生の英語はスピードも早く、こういったディスカッションの形式にも慣れている。また、国際的な多様性のみならず、年齢も20代から60代、そしてBAから就業経験を経たMA、PhDと様々なバックグラウンドの参加者がいる。知識や経験の差に圧倒されてしまうことも少なくない。自分の理解状況をその都度伝え、積極的に参加していく必要がある。対面の授業においてはこういった問題は軽減されたように感じた。

また、英国は遠く、物価も宿泊費も高く金銭面では特に気をつかった。幸いにも私は留学中の渡英となり、留学の奨学金を一部あてがうことができたが、全学体制で加盟しているプログラムとして、参加学生への助成制度がなければ限られた学生しか参加することができないと思う。今回日本人参加者が私一人だったこともあり、もっと多くの学生に機会が与えられるよう、プログラム参加学生への助成制度を増やしていただきたいと思った。

長くなってしまいましたが、以上になります。
参加側として具体的な情報をお伝えしたいと思いつつ、書ききることがなかなか難しいほどに、充実した3週間でした。

Summer Schools 2022 体験記 / Reports

From June 2022 to August 2022, Shared Campus Summer Schools 2022 were organized in each country around the world, where Shared Campus member institutions are located like Zurich, London, Taiwan, Bangkok, Melbourne.

Students from Tokyo University of the Arts, who has been a full-partner member of Shared Campus since April 2022, participated in Summer Schools programs centering around the Faculty and Graduate School of Fine Arts.
Their mobility for participating in each program varies from the participation at the actual overseas place to Online participation. Some programs were held in hybrid mobility both online and offline.

Below are reports from students, who participated in a Summer Schools 2022 program in which various countries, languages, cultural backgrounds run together.

Summer Schools 2022 プログラム

以下の7プログラムが開催された。[ ]内はプログラム実施形式。

  1. Food for the Future – Cooking, Eating and Crafting Hospitality
    [完全オンライン実施プログラム]
  2. Commoning Curatorial and Artistic Education
    [オンライン参加またはドイツKassel現地参加]
  3. Remote Guide to Extractivism
    [オーストラリアMelbourne 台湾TaipeiギリシアAthens いずれかの都市で実地参加]
  4. History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
    [タイBangkokでの実地参加]
  5.  Rivers. Jugular Veins of Empire
    [オンラインとLondonでの実地参加ハイブリッド形式プログラム]
  6.  Hacking Global Pop Icons
    [スイスZurich実地参加]
  7. Teleprovisation: Interdisciplinary Telematic Improvisation
    [スイスZurich シンガポールSingapore ノルウェーTrondheim いずれかの都市で実地参加]

  1. https://backend.shared-campus.com/site/assets/files/6244/sc-summer-school-2022-ok-1.pdf

 

※Most reports are written mainly in Japanese while some are in English

体験記/Reports

参加プログラム  Food for the Future – Cooking, Eating and Crafting Hospitality
参加日程 2022.6.27 – 7.15
参加形式 完全オンライン
氏名 水野 渚
所属 大学院美術研究科グローバルプラクティス専攻 修士2年

 

運営側によって分けられた3-4名のメンバーで構成されるグループワークがメインだった。テーマに関するインプットのための講義が1週間に2コマほどあり、全体のうち数回は外部ゲスト(foodに関する実践やリサーチを行なっているアーティストやデザイナー、建築家、教授)によるトークが含まれていた。トーク内容は、foodとジェンダーや記憶、コミュニティなどで、foodに関して様々な方面から話を聞くことができた。また、3Dモデリングソフトウェアの使い方に関するワークショップもあった。

foodという共通のテーマはあるものの、3週間という短期間の中で、全く初対面の人とオンラインで作業し、アウトプットを出さなければいけなかったことは、非常にチャレンジングであった。まず、チームメンバーの暮らす国が異なり時差があるため、スケジュールを合わせるのが大変だった。また、最初はお互いのことを知らない中、どのようにコンセプトや方向性を定めプロジェクトを始めたらいいのか全く分からなく途方に暮れていた。しかし、1週間に1度ほどある講師の方々とのメンタリングのセッションが、アイデアを試してみたり、深めてみたりするきっかけになった。また、幸いなことに、私のグループはきちんとコミュニケーションがとれ、モチベーションのあるメンバーばかりだったので、その点非常にやりやすかった。 逆に、foodに対して様々なメディアや切り口から表現活動を行なっている世界中のアーティストやデザイナー、リサーチャーと知り合い、協働してプロジェクトを起こしアウトプットできたことは、貴重な体験となった。その中で、自分の強みは何か、グループの中でどのような役割を果たせるのかを考えるきっかけにもなったし、foodというテーマで深く学びたいという気持ちが強くなった。

どのグループの最終プレゼンテーションも、非常にレベルの高いものばかりであった。ウェブサイトやアニメーションを作るグループ、コンセプトを魅力的にビジュアルにまとめるグループ、参加型のプロジェクトを作るグループなど、アウトプットの仕方も様々で、とても良い刺激になった。3週間はあっという間だったので、今回学んだり、感じたりしたことを、今後も深めていきたい。


体験記/Reports

参加プログラム Commoning Curatorial and Artistic Education
参加日程 2022.6.27 – 7.15
参加形式 オーストラリアよりオンライン参加
氏名 諏訪部 佐代子
所属 大学院美術研究科グローバルプラクティス専攻 修士2年

 

私個人としては、英語でのワークショップを初対面の方に対してホストすることが初めてだったためとにかく自信がなく、準備に時間をかけました。お忙しい中GAPの助手さんに我々のワークショップのプレゼンを見ていただき、具体的なアドバイスをいただいたことが非常に力になりました。友人にも事前にプレビューに参加してもらい、自分達のやりたいことを、決して狭めたり縛ったりしない形で、明確化したことによってワークショップの運びが円滑化したように思います。

当日は最初に自分たちの作品、実践を紹介し、なぜ我々がこのコンセプトに至ったかをプレゼンした後、実際にPadletを用いて交換のワークショップへ移行しました。
一番最初のワークショップでは、メルボルンで作成した私諏訪部の石彫作品を実際に交換の場に出し、みんなの意見を聞く機会がとても面白く受け止められました。実際に自分がこの作品にかかった費用などは伏せた上で、さまざまなイメージをみんなに投稿してもらい、わらしべ長者のような形で最終的にどういったものがアートの対価になりうるのかと考えていました。コーヒーや作品のようなものから、物質的なものを超えた現象やパフォーマンスなども交換の場に出され、非常に面白い場となりました。

二番目のワークショップでは、このプロジェクトのテーマである「Commoning」というワードから連想するものを参加者の皆さんにPadlet上に投稿してもらいました。我々のタイミングがちょうど中日ということもあり、このプロジェクト全体を通して語られるこのワードを皆が俯瞰して語ることのできた良い機会でした。

三番目のワークショップでは、特に議論が盛り上がりました。このワークショップは、我々が持つなんてことないスキルを三つまで交換の場所に出し、価値を他者に見つけてもらうというものです。明らかに価値があるものでなくても構わない、という前提の元、我々二人が事前に書いていた「アーカイブ写真を撮る」「インスタレーションをメルボルンで行う」などというところから始まり、「日本酒のペアリングをします」「美容のアドバイスをします」「広東語であなたの名前を発音します」などなど…、多くの目に見えないスキルがPadlet上の交換の場に出されました。我々は時に談笑しながら、これらの価値を実際に交換することを提案しました。

もはや言語的なものを超えたコミュニケーションが生まれたらベストだよね、と期待していましたが、その期待を裏切らず多くの視覚的なコミュニケーションも生まれた場所となりました。多くの哲学的問いが生まれた場でもありました。私が引用したAIに将来置き換わるであろうスキルたちのランキングはある意味でかなり残酷な情報ですが、それを踏まえた上で、ポジティブで活発なワークショップが生まれたのは皆さんのクリエイティビティによるものだなあと感じさせられました。
将来アーティストとして自立すること、とは簡単に言いますが、そのプロセスは千差万別でそれぞれが今まで誰も通ったことのないような草むらや崖、サバンナの中からサステナブルな道を見つけていかなければなりません。そんな、一歩先は座礁とも言われぬストレスフルな状況を、なんとかサバイブする仲間たちを見つける良い機会になったように思います。

体験記/Reports

参加プログラム History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
参加日程 2022.7.18 – 7.31
参加形式 タイBangkokでの実地参加
氏名 石塚 麻歩
所属 美術学部絵画科油画専攻3年

 

2週間、過去にバンコクで行われた展覧会を振り返り、また現在の街の姿やバンコクの歴史についてレクチャーを受け、最後の2日間、シラパコーン大学構内で展示をしました。

寺院や美術館、かつて展示が行われたギャラリーなどを訪れ、現地のアーティストのアトリエなども訪問しました。自由な時間も多かったので、その他の寺院や市場など、気になる場所に足を運ぶことができて、とても楽しかったです。
1999年にバンコクで開催されたCities on the moveという展覧会が、当時の社会に、また二十年以上の時を超えて現在にどのような影響を与えているのか。人や街は変遷し続け、展覧会もまた一過性のものではない、ということがテーマだったように思います。

はじめは言語の違いでどぎまぎしていましたが、現地で出会った友人たちに助けてもらいながら、ある程度意思の疎通ができるくらいには英語に慣れることができました。しかし、自分が作品で表現したいことや考えていることを詳しく伝えられないことがとてももどかしかったです。

学生の年齢層は幅広く、分野もインスタレーションや映像、建築、パフォーマンスなどさまざまでした。
作品のことだけでなく、国のことや文化のこと、他国の友達といろんな話ができて楽しかったです。同じテーマで制作しても、国が違うと観点ががらりと変わって、世界はひろいんだなあと痛感しました。

また、初めて海外に行ったということもあり、タイで触れた文化や生活は何もかも新しいものでした。当たり前のことのようですが、目の当たりにして初めて世界は日本だけではないのだと痛感しました。多様性というものを肌で感じられたことが、一番の収穫だったと思います。

体験記/Reports

参加プログラム History Reviewed: We Can’t Forget How to Move
参加日程 2022.7.18 – 7.31
参加形式 タイBangkokでの実地参加
氏名 Riedl Johanna
所属 大学院グローバルプラクティス専攻 修士1年

 

This year the 4th edition of the History Reviewed summer school series came to Bangkok with a keynote symposium on the 1999 seminal exhibition Cities on the Move to explore artistic practices concerning the city, history and memory. Participants from all Shared Campus partners are concluding these two weeks of learning and research with their artistic responses in an Open Studio event.

Two weeks of intense research, sightseeing, traveling to the past and possible futures, meeting lot of interesting artists and sharing food, love and fears ended up in a wonderful group exhibition.

I took only good memories and experiences with me from the summer school program and I am really glad to have experienced such a wonderful insight to the culture of Thailand through that program.

The only bad thing to point out is that Geidai does not provide any financial support to its students. All other universities attending the summer school program payed the flight and accommodation for their students. I found it hard to understand
the inequality in that circumstance, especially since we pay a huge amount of study fees already.

体験記/Reports

参加プログラム Rivers. Jugular Veins of Empire
参加日程 2022.8.8 – 8.26
参加形式 参加形式 Onlineと実地開催併用 第1週:Online 第2~3週:London
氏名 内田 万遊
所属 美術学部先端芸術表現科4年

 

テムズ川周辺のフィールドワークとディスカッションを通じて、「脱植民地化」と「ケア」という視点から都市・社会の未来について考えつつ、社会と関わる芸術が市民の意識をどう喚起できるかを探るコース

【具体的な内容】
1週目(8/8~12):オンライン
・「脱植民地化」「ケア」とは何か、講師陣からのレクチャー
・レクチャーを通して個々人が考えた「ケア」の事例等をシェアしあったり、シンプルな単語で再定義するワークショップ

2週目(8/15~19):対面 or オンライン
・ロンドン市内の様々な場所でのフィールドワーク(美術館、博物館、記念碑等)
・最終課題に向けてのディスカッション等、活動

3週目(8/22~26):対面 or オンライン
・最終課題に向けてのディスカッション等、活動
・作品制作
・プレゼンテーション

【参加して得られたこと、苦労したこと等】
得たこととしては、やはりホームグラウンドを出て海外での実験的な制作経験ができたこと。最終課題の作品ではサウンド媒体に挑戦し、自分自身の制作の幅を広げることができた。ショートプログラムならではの制作体験だった。

そして私自身、藝大内で多国籍の学生と出会う機会がなかなか持てなかったこともあり、今回のプログラム参加を通じて、芸術に関わる立場としての世界の課題解決に対するアプローチ方法を共に探る国際的なネットワークが持てたことはとても大きかった。海外芸術大学等への進学を希望する場合にも、このようなショートプログラムでその雰囲気を味わうことは大きな情報源となるはずだ。

個人的には、交換留学先の北京に渡航できず、香港に滞在しながら北京のオンライン授業を受けていたため現地で同世代の芸術分野の学生と知り合う機会がほとんどなかった。そのため、今回のコースで香港出身、もしくは現在香港で学修中の本土出身者が参加者の大半を占めていたことは予想外の大きな収穫であった。

また、私はアジア、特に香港と中国の関係に強い関心を示していたこともあり、今回のテーマと開催地に強く惹かれて応募した。「脱植民地化」「ケア」という言葉こそ新鮮であったが、誰しもが持ちうる視点であり、多角的な気づきを得る機会になった。

最初の1週間はオンラインでの開講で、対面でのディスカッションよりも議論が難しく感じられた。ヨーロッパ圏の学生の英語はスピードも早く、こういったディスカッションの形式にも慣れている。また、国際的な多様性のみならず、年齢も20代から60代、そしてBAから就業経験を経たMA、PhDと様々なバックグラウンドの参加者がいる。知識や経験の差に圧倒されてしまうことも少なくない。自分の理解状況をその都度伝え、積極的に参加していく必要がある。対面の授業においてはこういった問題は軽減されたように感じた。

また、英国は遠く、物価も宿泊費も高く金銭面では特に気をつかった。幸いにも私は留学中の渡英となり、留学の奨学金を一部あてがうことができたが、全学体制で加盟しているプログラムとして、参加学生への助成制度がなければ限られた学生しか参加することができないと思う。今回日本人参加者が私一人だったこともあり、もっと多くの学生に機会が与えられるよう、プログラム参加学生への助成制度を増やしていただきたいと思った。

長くなってしまいましたが、以上になります。
参加側として具体的な情報をお伝えしたいと思いつつ、書ききることがなかなか難しいほどに、充実した3週間でした。