【レポート】留学生のためのオンラインワークショップ:山田流箏曲を学ぼう
June 30, 2021
2021年6月24日(木)に、東京藝術大学の留学生を対象とするオンラインワークショップ「山田流箏曲を学ぼう」を開催しました。
この企画は、邦楽科の博士課程に在籍中の萩岡由子さんの研究の一環とし、山田流箏曲の魅力を海外に伝えるという趣旨のもと開催されました。
まず初めに、講師の萩岡さんによる自己紹介と研究内容の紹介ののち、早速10分ほど生の演奏を拝聴しました。
曲目は《鐘が岬(Kanegamisaki)》と《万歳(Manzai)》。鐘が岬は落ち着いた曲調であったのに対して、万歳は、途中で歌が止み、演奏のみになる箇所が盛り上がる曲でした。
そして2曲の演奏のあと、参加者は曲のイメージについて質問に答えます。
質問に答えた後は、箏に関する簡単なレクチャーが行われました。
まずの生田流、山田流という2つの流派について爪の形の違いや、姿勢の違い、演奏の編成の違いについて、また「裏連」という奏法での違いについて学びました。
その後、3択クイズコーナーとともに楽器について学びました。
一つ目のクイズは、箏は何の動物に似ていると言われているか、という質問で、選択肢は「蛇、うなぎ、龍」。
二つ目のクイズは、箏は何の木でできているか、という質問で、選択肢は「桜、桐、松」。
三つ目のクイズは、柱と爪は何でできているか、という質問で、選択肢は「象の牙、鹿の角、セイウチの牙」でした。
(それぞれの答えはぜひ調べてみてください!)
続いて、冒頭で演奏した曲目についての解説が行われました。
まず一曲目の《鐘が岬》は、和歌山にある道成寺というお寺に伝わる安珍・清姫伝説をもとに作られた曲。安珍に裏切られた清姫が龍に姿を変えて安珍を追い、最終的に道成寺の鐘に隠れた安珍を鐘ごと焼いてしまうという悲しく恐ろしい物語だそうです。
曲の始まりについての解説では、山田流箏曲は主に前弾きから始まる曲が多いが、この曲は「鐘に恨みは数々ござる」という歌詞の歌から始まり、これが悲しみや怖さを感じさせる要因になっている、とのことでした。
二曲目の《万歳》とは、もともと「1000年」を表す言葉。今回演奏された万歳は、家の繁栄と家族の健康を祈る祝福芸だそうです。
通常小鼓と一緒に演奏され、お祝いの雰囲気を醸し出す曲とのことで、小鼓や三味線と一緒に演奏された様子を映像で拝聴しました。
これらの解説を聞いてから、参加者は曲のイメージが変わったかどうかなどについて質問に答えました。
そしてワークショップの最後には、お箏の演奏にあわせて歌ってみるパートがありました。
萩岡さんの演奏に合わせ、日本の伝統唱歌の《さくら》や《うさぎ》や山田流箏曲の古典《須磨の嵐》を歌いました。
参加者の中にはまだ来日できていない留学生もおり、講師の先生との対話や演奏を楽しんでいた様子でした。
自分で歌ってみるという体験も含め、日本の伝統文化に深く触れる機会になりました。
(グローバルサポートセンター)