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コンテンポラリーアニメーション入門:ポール・ドリエセン監督による特別講義とワークショップ

2017.11.7

2017年5月18日から25日にかけて、アニメーション監督のポール・ドリエセン氏が東京藝術大学を訪れ、公開講義やワークショップを行いました。ドリエセン監督は、ビートルズの長編アニメーション「イエロー・サブマリン (1968)」への参加をきっかけにキャリアをスタートし、その後オランダとカナダを中心に40年以上にわたり国際的に活躍、アカデミー賞にもノミネートされています。また長年にわたり、ドイツ・カッセル美術大学でアニメーターの育成にも携わってきました。「コンテンポラリーアニメーション入門」の一環として開催された今回の公開講義とワークショップでは、示唆にとんだストーリーの作り方とアイデアの出し方について、これまでの作品を例にあげながら解説していただきました。

二日間にわたるワークショップには、延べ35名のアニメーション専攻の学生が参加しました。ワークショップの初日には、簡易なコマ絵と短文を用いてユーモラスな状況を描く課題が与えられました。19名の参加学生が、過去にドリエセン監督が行ったワークショップで世界の学生達が制作した作例を参考にしながら制作を行い、それぞれ自作の発表を行いました。ヨーロッパの学生達が用いる直接的でわかりやすい表現に比べると、藝大の学生たちの作品には、日本における文脈を共有していないとわかりづらいアイデアが散見されました。参加学生たちは、自国以外の観客を想定してアイデアを伝えるためには普段と異なる発想力が必要であることを実感したようです。

「線のメタファーとマルチ画面」と題された公開講座には133名が参加し、ドリエセン監督が1972年から2014年の間に制作した作品のうち11作品が上映されました。ドリエセン監督の作品中では愛らしいキャラクター達がシンプルな線でユーモラスに描かれていますが、それと同時に生と死を感じさせるような雰囲気も漂います。また複数のストーリーラインが並行して展開されるにつれてアニメーションの画面も同時に分割されていくなど、一見複雑にみえる制作手法について、監督本人より詳しい解説がありました。講座では観客からも多くの質問が寄せられました。今回のワークショップと講座は、世界的に著名なアニメーション作家のアイデアや思考に触れることのできる、たいへん貴重な機会となりました。

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